2009.6.25〜2009.6.28
石鎚山、不思議なことが起こる山(一の宮巡拝記外伝 18)
(石鎚神社本社)、(石鎚神社成就社)、(石鎚神社奥宮)、(伊曽乃宮)、(石鎚神社土小屋遥拝殿)、艮神社


はじめに

 ゴールデンウイークも近くなったある日、定額給付金記念超割なる運賃の広告をANAのページで見つけた。航空運賃を運賃をこの年、国より支給された定額給付金の金額と同じ料金とするセールのようなものである。便によっては大変お安い価格設定となるものもあったのだが、期間限定で、この年の6月30日〜7月6日までとのこと。
 6月末から7月初旬に、尾道に行くことにしているので、この時期にしてはどうかと考えた。今年は愛媛県の石鎚神社に参拝し、奥宮が鎮座している石鎚山登山も行いたいと思っていた。
 この日の朝、ANAの予約のページを開いてみると、頭の中に思い描いた旅程で広島-仙台の往復の航空券は確保できそうだったので、石鎚神社頂上山荘の状況を電話にて確認してみると、予定した日の部屋は空いているようであったが、祭典期間中であるため、登山に色々な制約があるとのことだった。小生は遠くからの移動になるので、制約が加わると旅程を立てるのが難しくなると思い、一旦電話を切らせていただいた。
 色々検討し、その1週間前の6月末にANAの旅割運賃での旅程を考えた。空席もあり、石鎚神社頂上山荘に電話をしてみると、予約可能とのことであったので、さっそく予約させていただいた。その際、御親切に登山ルート等もお聞かせいただくことができた。
 この日のうちにレンタカー、旅行の拠点となる尾道のホテルの予約までを行った。


6月25日

 カミさんの車に荷物を積み込み、街までに送ってもらう。
 通常であれば、仙台駅、なれど、今回は路銀の工面をせねばならなかった為、仙台街中の銀行まで送ってもらった。
 路銀の調達を終え、仙台駅まで数分歩く。その間、現地でお世話になる方への土産物を頭の中で模索する。こう度々中国地方に出向くと玉切れ(ネタ切れ)状態である。しかし、ふと頭に浮かんだのが、喜久水庵の喜久福である。最近評判がよいらしい。冷凍で販売されていることもあるので、移動の際少々面倒ではあるとは思ったが、仙台駅の土産物屋でこれを調達。これから移動せねばならない旨相談すると、保冷剤を入れてくれた。本日中に現地にてお渡しできればなんとかなりそうである。
 仙台駅から、仙台空港アクセス鉄道に乗り込む。仙台空港には、9:30頃の到着となった。直ぐにチェックインを済ませ、トランクをカウンターに預ける。これまでの所、何も口にしていない。広島に着くのは14:00少し前の予定であるので、朝食を兼ね、少々早い昼
食を仙台空港3FのROYALでとった。ちょうどモーニングセットの時間でだったようだ。オムレツプレートを注文した。味もよく、結構お腹は満たされた。
 時計を見るとまだ間がある。手荷物検査場を抜けた後、ANAのラウンジで旅の計画を思い描きつつ、飛行機の出発時間を待った。
 その時間、携帯電話コーナーから、石鎚神社へ電話し、何点か質問をさせていただいた。ざっとその時のお話の内容をまとめると、
 ・登山ルート確認
  ロープウェイを用いて頂上を目指す成就社ルートが昔からの奥宮への参道であり、土小屋ルートよりも急な山道となる。
 ・御朱印について
  石鎚神社は4社のお社があるが、この季節であれば、御朱印を4社全ていただくことができる。
 ・御朱印帳
  オリジナルの御朱印帳がある。ただし、本宮でのみ扱っている。

とのことであった。

富士山 飛行機はほぼ定刻通り離陸し、少々ゆれるとの放送が入ったが、そのようなことは殆ど無く、サービスの音楽放送を聴きながらの快適な空の旅であった。
 途中少々雲はかかっていたが、富士山も見ることができた。

 広島への到着は13:25頃で、預け荷物を受け取り、直ぐにマツダレンタカーのカウンターを訪ねると、送迎車に案内された。
 レンタカーを借りるのもなれたもので、手続きは直ぐに完了した。返却予定時刻が中途半端だったためか、支払いは返却時ということになった。返却時の時間で予定通りの日数分支払うか、1日分少なく支払うかを決定してくれるというのである。多分予定通り支払うことになるだろうと思いながらも後払いの話を受けた。
 マツダレンタカーなのではあるが、車はダイハツのリッターカークラスのブーンである。そこそこ燃費も期待できそうである。迷うことはないと思うが、Naviに目的地として尾道駅、コースは一般道優先を設定して出発した。この日は特に予定があるわけでもないので、高速代を少々節約することにした。
 天気は大変良い。尾道に着いたらカメラを持ち、海沿いを少し流そうかと考えた。

尾道にて風に揺れる干し蛸 尾道駅には14:45分頃到着した。この日お世話になるホテル、α-1のチェックイン開始時刻は15:00からであるので少し時間をつぶさねばならない。尾道駅に車を停め、お好み焼き、鉄板焼きの暖談に手土産をぶら下げて向う。お茶でも一杯させていただこうと考えたのだ。しかし、準備中であった。そのまま駅に戻ると15:00近くになっていたので、ホテルにそのまま向いチェックインし、一旦部屋に入った。
 心配なのは土産物として調達した喜久福である。見ると保冷剤はもってくれていたようだ。すぐに自室の冷蔵庫に入れた。
 少し自室で涼んだ後、カメラを担いで海沿いを流した。久しぶりに尾道の海を眺めのんびりとした時間を過ごすことができた。
 写真左:渡船
 写真右:風に揺れる干し蛸

 一旦ホテルに戻り、土産物をとり、暖談に向う。途中商店街を少し覗いてみる。この時期の土曜日の尾道は土曜夜店の時期である。まだ少々早かったが屋台等も出ており、人も出始めていた。
 暖談の暖簾をくぐり、夕食をかねてビールをいただく。明日は少々体力的にがんばらなければならないので牛焼き(ステーキ)と、お好み焼きを、久しぶりにお会いした暖談のお上さんと世間話をしながらのんびりいただいた。
 暖談を出て、土曜夜店を少し流して港屋に向った。少々時間も早いので、もう一杯と行きたかった。というよりも手土産を渡しておきたかったのである。翌日は早いので長居はしなかったが久しぶりに会った尾道の友人達と焼酎を飲んだ。
 その後、港屋で再開した友人としゃべりながら海沿いを少々流し、コンビニエンスストアで水物を購入した後、ホテルに戻った。
 明日は少々早く起きなければならない。携帯電話のアラームを4:30にセットし、バックアップに自室のアラームを4:50にセットし、汗を流してすぐに横になった。

6月26日

 携帯電話のアラームが鳴らなかった。携帯電話がサイレント設定になっていたのである。少々遅らせてセットしておいたホテルの目覚ましで4:50頃目を覚ます。バックアップは大切であると感じる。
 5:30にチェックアウトする。
 尾道の天気は晴れ。石鎚山のある愛媛の天気も心配なさそうである。車のNaviに目的地を石鎚神社(本社)をセットして運転を開始した。しまなみ海道を今治を目指して南下する。これまで何度もしまなみ海道を走っているが、全線走るのは初めてである。途中瀬戸田PAで休憩を入れ、今治ICで高速を下り、一般道に入る。ここまで約1時間の走行である。196号線を走行していると石鎚神社まで25Kmの看板が見えた。迷うことはなく辿りつくことができそうである。どのくらいから山道に入り店がなくなるのかがまったく予想できないので、早めに昼食を購入しておくことにした。休憩をかね、今治松木のコンビニエンスストアーに入り、昼食用におにぎりを購入した。


石鎚神社本社

 石鎚神社本社へは、7:40頃の到着となった。第1駐車場に車を停め、来た道(坂道)を少々下り、正面の参道から拝殿を目指した。駐車場から直ぐに社務所横に抜けることができるのであるが、参道を歩いてみたかったのである。
 石段を上ると、右手に社務所、左手に石鎚神社会館がある。さらに進み、右手の石段を上ると神殿となる。
 まだ少々早い時間なので、参拝者の姿もなく、神社の方もおられない。拝殿前の授与所も閉まっている。
 まずは、拝殿前に進み、今回の登山を無事成し遂げることができることを祈願した。そしてそ登山が成功したならば、帰路、再度御礼のためにお参りさせていただくことを神前にて誓い、御朱印をいただくために社務所に戻った。
 この時点で社務所は開いていた。事前に電話で確認した際、御朱印帳を扱っているとのことであったので、御朱印帳をおわけいただいた。3種類ほどのデザインがあり、一般的なものであったが、石鎚神社4社ぶんをまとめるには良いと思ったので、御朱印帳は持参していたけれども、あえてその帳面をお受けし、そちらに御朱印をお願いした。御対応いただいている間、少し境内を散策させていただくことにした。
 再度石段を上ると、神社の女性にお会いした。これから授与所を開くために拝殿前の授与所に向かわれるようだ。少々(多々?)雑談にお付き合い下さり、これから石鎚山の頂上を目指すとお話すると、登山口までのルートや所要時間、登山のポイント等大変親切に教えて下さった。感謝である。「どちらからお参りですか。」と問われたので、「何処からでしょう?」と逆に聞いてみると、「東京?」とのお答え。小生は通常仙台弁をかくしてしゃべることはしないが、初対面の方とお話する場合、緊張のためかカチカチの標準語となる。そのため東京からと思われたのかもしれない。仙台からであると話すと、かなり驚かれたようで、また大変元気に、「お気をつけて旅をお続けになられますように。」とお言葉をかけて下さった。石鎚山の情報もかなり収集できたし、また朝から元気づけられることとなった。今回の登山は何か良いことが起こりそうな予感もしてきた。
 御朱印帳を受け取りに、社務所に向かう途中、境内の清掃をされる神社の皆さんにお会いした。皆さんは色々お声をかけて下さった。
 この時間になると、地元の参拝者の方もちらほらと拝殿を目指されるようだ。その方々とも挨拶をかわしつつ社務所を目指した。

石鎚神社鳥居 石鎚神社神門 天狗様 石鎚神社拝殿
石鎚神社鳥居

国道11号線ぞいに大鳥居が見えた。
石鎚神社神門

神門をくぐり、境内へ。
天狗様

神門には天狗様がおられた。
石鎚神社拝殿

天気は良さそうだ。
授与所の準備をされていた女性に、
登山のポイントをレクチャーいただく。


 社務所にて御朱印帳を受け取り、車に戻り、石鎚山の登山口となる成就社ルート(石鎚山の登山口は2つあるが、成就社ルートを用いる)のロープウェイ乗り場付近を目的地としてNaviにセットすると、35分程度の所要時間と出た。先ほどの女性にお聞きした所要時間とほぼ一致している。


成就社へ

ロープウェイ乗り場へロープウェイより ロープウェイ乗り場への到着は、9:00少し前となった。平日朝であったこともあり道が非常に空いていたので思ったより早く移動することができた。駐車場に車を停め、2日分の駐車料金を駐車場前の土産物屋さんで支払う。次のロープウェイの出発は9:20とのこと。ロープウェイ乗り場に向かうと、山麓駅でロープウェイを待つ乗客は、登山者は、小生と、年配のご夫婦、その他に、山道を整備する方々であろうか、手に手に鎌を持った男性が6〜7人位であった。登山者は多くなさそうである。のんびりと自分のペースで上ることが出来そうである。ロープウェイは非常に快適である。車内の放送によると、1300m地点まで7分30秒で上るとのことだった。
 ロープウェイを降り、石鎚神社成就社までは約15分程度の山道を歩く。木々にかこまれた山道であるので、日差しが遮られているので歩きやすかった。



石鎚神社成就社

 ロープウェイ山頂駅から山道を歩き成就社の鳥居をくぐると、左右には数件の山荘と土産物屋が並ぶ。その先にさらに鳥居があり、奥に石鎚神社成就社拝殿と遥拝殿が並んで鎮座していた。
 拝殿に進み、登山の成功を祈願した後、遥拝殿にも参拝する。遥拝殿からは石鎚山山頂を望むことができた。これからあの頂を目指すのだという決意のようなものもこみあげてきた。
 その後、社務所兼授与所を訪ねて御朱印をいただいた。授与所には2人詰めておられ、お一方(かた)が御朱印の対応をされている間、もう一方が登山の情報を教えて下さった。

 鳥居をくぐると...  石鎚神社成就社  石鎚神社成就社拝殿  遥拝殿
鳥居をくぐると...

数件の山荘と土産物屋が並ぶ。
石鎚神社成就社

鳥居をくぐり、
正面が成就社拝殿
左が遥拝殿となる。
石鎚神社成就社拝殿

拝殿、遥拝殿に参拝後、
拝殿右の社務所兼授与所にて
御朱印をいただいた。
遥拝殿

遥拝殿からは、
石鎚山を望むことができる。
これから登山である。


石鎚山登山

 10:06、登山届を記入して、神門をくぐり、登山が始まった。
 神門をくぐると、まず一度下り坂となる。10分ほど歩くと、鳥居があり、この鳥居は石鎚山遥拝の鳥居とある。
 そして、登山を開始し、2時間ほどで、もう1つの登山道土小屋ルートとの合流地点に辿りついた。ここから頂上まで600m程とのことであった。ここで水分の補給などをしつつ少々休み、頂上を目指し、頂上への到着は12:48分。約2時間40分で頂上に到達した。写真をとりつつののんびり登山であったが、かなり疲れての到着である。

 登山開始  まず下る  石鎚山遥拝所鳥居  遥拝所から石鎚山山頂を望む
登山開始

神門をくぐると、登山の開始となる。
まず下る

石鎚山に登る為には、
まず下らなければならない。
石鎚山遥拝所鳥居

遥拝所の鳥居が見えてきた。
山頂まで行くことができない参拝者は
ここから遥拝するのだそうだ。
遥拝所から石鎚山山頂を望む

登山は始まったばかりである。
分岐にて   頂上まで0.3Kmとあるが...  だいぶ高くまで登ってきた 頂上が見えた 
分岐にて

土小屋ルートと成就ルートの
分岐点にて一休み。
頂上まで0.3Kmとあるが...

この表示は登山中よく見かけたが、
数値自体はかなり怪しい...。
だいぶ高くまで登ってきた

振り返ると、近隣の山々がよく見える
だいぶ高くまで登ってきたと実感。
頂上が見えた

頂上の石鎚神社奥宮が見えてきた。



石鎚神社奥宮

石鎚神社奥宮にて石鎚神社奥宮にて 頂上に着き、まずは奥宮に参拝し、無事頂上に到達することを報告し、御礼した。
 その後、授与所を訪ね、若い神職の方より、御朱印をお受けした。これにて、石鎚神社の3社の御朱印をいただいたことになる。
 翌日、土小屋遥拝殿にて御朱印をいただくことができれば、石鎚神社4社の御朱印をいただいたことになる。

 

石鎚山山頂にて

 奥宮参拝後、朝に買い込んだおにぎりを昼食としてとり、山荘に顔を出してみる。今晩はこの山荘にお世話になるのである。聞くと、なんと今晩の宿泊客は小生一人なのだそうだ。チェックイン時間にはまだ間がある。もう少し山頂を散策することにした。リュックを一旦あずかっていただき、まずは天狗岳に向かうことにした。天狗岳は奥宮のある山頂からそう離れた距離ではなく到達まで時間はかからなかったのであるが、切り立った岩山で、少々怖く、立っていることができなかった。少々風景を楽しんだ後、長居をせずに山荘に戻ることにした。
 14:00、チェックインの時間よりもかなり前であるが、石鎚神社頂山荘にチェックインさせていただいた。
 本日の宿泊客はやはり小生一人とのことで、いろいろと融通を利かせていただいた。お話を聞くと店主殿はかつて東北に住んでおられたことがあるとのことで、仙台のことも良く御存知であった。
 荷物を置き、その後も少々散策をしたが、部屋に戻り一休みすることにした。旅のまとめ等をしていると、睡魔が襲い、少々転寝をしてしまったようだ。
 16:00過ぎ、カメラを持ち外へ。少し涼しくなってきた山頂を散策して歩いた。
石鎚山山頂にて

山頂で会った登山者に
シャッターを押してもらった。
石鎚山山頂にて

こちらはセルフタイマーにて撮影
向こうに見えるのが、天狗岳
石鎚山山頂山荘

この日お世話になる山荘である。
この部屋に一人...

今宵の宿泊客は小生一人。
石鎚山山頂にて

頂上を散策。
石鎚山山頂にて

奥宮のはへの鎖。
天狗岳

奥宮の位置からそう離れていない。
しかし...、
切り立った岩山で、少々怖かった。
石鎚山山頂にて

16:00過ぎ、少し陽は傾いてきたが、
まだまだ明るい。



夕拝神事

 17:00 夕拝の神事が奥宮拝殿で執り行われる。山荘への宿泊者はこの神事に参列することができる。
 拝殿入口の戸が開け放たれ、太鼓が鳴らされ、夕拝の神事が始まった。山々に太鼓の音がこだまする。御祈祷の後、御神体の扉が閉ざされた。この扉は朝の神事において開かれるまで夜間閉ざされることとなる。
 神事後、神職の方からこの神社についてのお話をいただくことができた。
 お祀りしているのは、石鎚彦大神で、天照大神より前の、正式ではないが前後という考えであれば、天照大神の”兄”的立場の神様とのこと。
 御神体は3体あるのは、徳があまりにも多い神様なので、3体にお分けしてお祀りしているのだそうだ。山荘への宿泊者は翌朝の朝拝に参列することができ、その際には実際に御神体に触れて祈願することができるとのお話をいただいた。
 そして最後に、この石鎚山は何か不思議なことが起こる、不思議な体験をするかもしれない山なのだそうだ。この夜になにか不思議な体験をしたら、なんでも良いので明日の朝にその体験を聞かせてほしいとのことだった。


石鎚山山頂の夜

夕食はカツカレー 17:20頃、予定は17:30であったが、夕食となった。とんかつとサラダは一皿にもってあり、みつまめがデザートとしてついている。カレー皿が置いてあり、ご飯とカレーは好きなだけ食べてよいですよ、○○さんだけなので、全て食べていただいてもかまいませんから。とのこと。大きなジャーと大きなカレーなべのその量は、小生が何人かかっても平らげられる量ではない。しかし、お腹も少し空いていたので、少々大盛りでよそわせていただいた。
 食後のことであるが、まったく予定もしていないことだったが、素晴らしいイベントを組み込むこととなった。
 それは、夕日を見送り、星空を見上げるというものである。

 
 19:00過ぎ、夕日にそまる山々を撮影しつつ、夕日を見送った。その後、20:30頃から天体ショーの始まりである。
 星空を見ることが出来るなどということはまったく考えていなかったので、その為の撮影装備など持ち合わせていなかったのであるが、山小屋の店主殿が、軽量なものであるが三脚を貸して下さった。
 山小屋の就寝時刻の21:00頃、山小屋の主な電気は消される頃には満点の星空となった。さそり座が見え、そして天の川まで見ることができた。そして見上げていると5分に1度は流れ星が降る。こうして星空を見上げたのは何年ぶりだろうか、いや何十年ぶりだろうか。ここまで星を見ることができる場所がまだこの日本にはあったのだ。
 山小屋に戻ると、店主殿が、何やら手にもちこそこそとやってこられた。なんと寝酒にどうぞとゆのみにお酒を注いで下さったのである。少しお酒をいただきながら星空の話をした。星空を見るために山荘に泊まられる方も多いのだそうだが、山の天気は予想できないため、目的を達することができないことも多いそうだ。ましてや四国は雨が少ないとは言え、梅雨の季節にここまで晴れ星空が見えることは珍しいことなのだそうだ。(宿泊者は小生一人なので)○○さんのために晴れてくれたとしか思えませんね。と店主殿は首を傾けて不思議だという顔つきをされながら笑われた。本当に素晴らしい星空を体験させていただくことができた。

茜色に染まる天狗岳

茜色に染まる天狗岳
夕陽を浴びる奥宮御社殿

夕陽を浴びる奥宮御社殿
暑い一日の終わり

暑い一日の終わり
夕陽を見送る

夕陽を見送る
御社殿と星空

御社殿と星空
星降る夜に

星降る夜に


6月27日

 4:00起床、奥宮拝殿に行く。周囲はだいぶ明るく、見事な雲海も見ることができた。少しずつ明るくなる山々を撮影しながら御来光を待つ。今日も良い天気となりそうでる。そして、4:54御来光を一人でお迎えさせていただいた。

御来光

御来光
御来光

御来光
雲海

雲海
天狗岳

天狗岳



朝拝神事

 太鼓が朝の石鎚山に響き、御祈祷が行われ、昨夕閉じられた御神体の扉が開かれた。
 その後、神職の方より、この山、神社の説明を夕拝時よりも少し詳しくお聞きすることができた。また小生一人で他の参拝者はおられないので、いろいろな質問にも丁寧に応じていただくことができた。その内容を少し紹介すると。
 四国には2社の”山”の神社があり、1社が金毘羅さんで、船等も出ており、参拝経路も整備されている。森の石松が参拝したとも言われており、庶民にも親しまれた神社である。もう1社が石鎚神社で、少し前までは女人禁制で、力の信仰であり、修験の山に鎮座したこの神社である。石鎚神社にお参りする為には、手漕ぎの船で海を四国に渡り、何日も歩き、そして険しい山を登ってやっとたどり着く。その為に修験の山となったのではないかとのことであった。また近県の小高い山には石鎚神社の社が建つところも珍しくなく、これは石鎚山への登山は険しいため、簡単に参拝することができないために、広がっていったのではないかとも話されていた。尾道の千光山にも石鎚山とかかれた石標を見たことがあった。
 御神体にふれて祈願する機会を得た。写真を撮影し、掲載することはできないので、言葉で説明させていただくと、3体の御神体はそれぞれ、以下のような徳を御持ちとのことである。
 左:勇 剣をもつ。厄除け 3番目に祈願
 中央:仁 玉をもつ。家内安全 1番初めに祈願
 右:智 鏡をもつ。商売繁盛 2番目に祈願
 3体に触れ、それぞれお願い事をさせていただいた。
 そして、最後に神職の方より「何か不思議な事は起こりましたか?」と問われたので、「夕日を見送り、星降る空を見上げ、御来光を迎えることができました。」と話すと、
 「それはなによりでした。この梅雨の時期に夕日、星空、御来光をそれぞれ見ることができたことは正に不思議なことです。この梅雨時期は、例え晴れていても見ることができない日のほうが多いですから。」とのお言葉をいただき、この登山が大変素晴らしいものであったことを実感した。


そして下山

 朝食は7:00からとの説明があったが、6:45頃朝食となった。その後、奥宮拝殿横の授与所を訪ね、先ほどの神職さんに、御世話になった神社、特に思い入れのある神社の御朱印を集めている御朱印帳に御朱印をいただいた。
 山荘に戻り、身支度を整えた後、下り用に冷茶をお分けいただき、登り時空けたペットボトルに注ぎ、7:30下山を開始した。
 途中急な下り坂で足を滑らせ、尻もちをついた際に右手を地面につき、小指付近少々腫れた。少々焦ったが骨には特に支障ないようであったので、特に足元に注意をはらいつつ下山する。8:40遥拝の鳥居付近で休憩し、山を振り返ってみる。結構高い山のように思えてきた。四国で一番高い山であるから...。ここからはまた上り坂が続く。15分程歩き、9:00少し前に、成就社神門に辿りついた。

朝食

朝食
御朱印をいただく

御朱印をいただく
石鎚山山頂を後にする

石鎚山山頂を後にする
成就、土小屋ルート分岐

成就、土小屋ルート分岐
石鎚山遥拝の鳥居で一休み

石鎚山遥拝の鳥居で一休み
神門が見えた

神門が見えた



石鎚神社成就社

石鎚神社成就社遥拝殿より石鎚山を望む 早速拝殿に向かい、登頂成功と、下山時、多少アクシデントはあったが、無事ここまで下山できたことを報告し御礼した。そして、遥拝殿に行き、御礼をさせていただき、石鎚山を見上げた。いつもながら下山して思うことであるが、よくぞ登ったものだと。


 昨日記入した登山届に、下山した旨を書き込み、ロープウェイ山頂成就駅を目指して、下り道を歩く。
 途中、登りのロープウェイが到着したようで、何名かの登山者と挨拶を交わしながら歩く。駅でも登山の準備をしている数人のパーティに出会った。この日は土曜日であるので、昨日よりも登山者は多いのであろう。
 9:40発の下りロープウェイに乗り、山麓下谷駅まで8分程度の空中散歩である。風が大変涼しく感じられる。この頃にはかいた汗もだいぶひいていた。
 9:50過ぎ、駐車場着。石鎚神社本社をNaviにセットして出発である。
 途中、石鎚神社本社に向かい、加茂川沿いの194号線を走っていると、伊曽野宮との看板が目に入った。そう遠くもなさそうであったので、立ち寄って参拝することにした。


伊曽乃宮

 看板に従い、194号線を左折すると、大きな鳥居が見えた。道なりに進み、駐車場と書かれている方向に進む。
 10:25頃、伊曽乃宮の駐車場に到着した。
 カメラと、御朱印帳を持ち、駐車場から神門に向かって歩く。
 木々にかこまれた境内を歩き、右手に神門が見え、その奥には、熱田神宮を思わせる重厚な御社殿が広い境内に構えており、少々圧倒されながらの参拝となった。
 授与所には人がおられなかったので、社務所に向かうと、宮司様と、女性が二人おられた。
 御朱印をお願いすると、宮司様と御年配の女性が席を立ち、授与所にて対応下さった。
 その間、境内の写真を撮らせていただいた後、社務所に残られた女性は、手を休められ、こちらの天候の話をお話下さったり、小生から仙台の話をさせていただいたりと、御朱印を御対応いただいている間お付き合い下さった。
 御朱印をお受けする時に、竹でできた、こちらの神社の団扇をいただいた。和紙に金魚や風鈴が描かれており、伊曽乃宮と入っている。参拝の記念となった。(現在この団扇は、縁起ものの一つとして小生の部屋に飾られている。)

 伊曽乃宮神門  伊曽乃宮御社殿  伊曽乃宮御社殿  髪飾り(社務所にて)
伊曽乃宮神門

神門の前には太い楠があり、
日差しを遮っている。
伊曽乃宮御社殿

神門をくぐると、
正面に御社殿が目に入る。
伊曽乃宮御社殿

非常に重厚な御社殿である。
髪飾り(社務所にて)

珍色とりどりのきれいな、
珍しい髪飾りをされていたので、
お願いして撮影させていただいた。


石鎚神社本社

石鎚神社本社にて 伊曽乃宮を後にし、約10分程車を走らせ、11:00少し前に石鎚神社本社に到着した。
 石鎚山の登山を終え、無事登山に成功したことの報告と、石鎚神社は登山し色々な体験もさせていただき、思い出深き神社の1社となったので、御世話になった神社、特に思い入れのある神社の御朱印を頂いている帳面に御朱印をいただくために再度参拝したのである。
 拝殿にて参拝後、前日御朱印のご対応をいただいた社務所で、持参した御朱印帳を出し、再度御朱印をお願いしたところ、この日は授与所か、向いの会館でとのお話だったので、先ほど参拝の際、人が詰めておられた授与所に向かうと、神職の方(書ける者という表現をされていた)が御祈祷の最中で不在なので、会館でお願いしますとのことだったので、会館に向かった。
 会館にて御朱印をお願いしていると、石鎚神社との名の入った御朱印帳が目に入ったので、お受けし、こちらの御朱印帳にも御朱印をお受けした。授与所で扱っている御朱印帳と、会館の御朱印帳は仕入れルートが異なっているのだそうだ。

 11:20過ぎ、Naviに石鎚神社土小屋遥拝殿をセットし、石鎚神社本社を後にし、車を走らせる。道がさっぱり分からないので、Naviの誘導を信じて走行させたが、高知県に入り、細い山道を走らなければならず、途中心細くなり何度も車を停め、Navi上でルートの確認を行いつつ進んだ。


石鎚神社土小屋遥拝殿

石鎚神社土小屋遥拝殿石鎚神社土小屋遥拝殿より石鎚山を望む 細い道をひた走ると、視界が開け、石鎚神社土小屋遥拝殿前の駐車場前に出た。
 車も多く停められている。
 遥拝殿にて参拝後、遥拝殿内の授与所で御朱印をお受けした。
 この遥拝殿拝殿からは今朝下山した石鎚山を望むことができた。
 石鎚神社は4社のお社からなっていると聞き、この石鎚神社土小屋遥拝殿への参拝で、4社全てに参拝することができたこととなった。
 参拝を終え出発する際、少々寒く感じられるようになってきた。雲もずいぶんかかってきた。山の天気は下り坂のようだ。


 帰路もかなりの山道を走らねばならぬようだ。今回は、石鎚神社4社に参拝でき、また、事前に存在は確認していたが、参拝は出来ないであろうと考えていた、伊曽乃宮にも参拝することができたので、十二分に目的は達成することができたと言ってよい。無理にこれ以上の予定は詰め込まず、尾道に引き返すことにした。
 Naviに尾道市街をセットし、所要時間を見ると、レンタカー返却時間ぎりぎりのようだ。13:30石鎚神社土小屋遥拝殿を後にし、尾道市街を目指した。
 地元のラジオを聴きつつ車を走らせる。以下、備忘録の為、ルートを乗せておく。
 石鎚スカイライン→494号線→11号線→川内IC→(松山自動車道)→今治湯浦IC→今治IC→(西瀬戸自動車道)→大浜PA(休憩)→西瀬戸尾道IC→2号先→新尾道駅そば出光(給油)→新尾道駅(マツダレンタカー、車両返却)
 Naviの設定を誤り、新尾道駅をセットしたつもりで尾道駅をセットしてしまい、途中不明なコースを走り、夕方の渋滞につかまり、返却予定時間(17:00)ぎりぎりとなってしまうというハプニングもあったが、これもまた旅の一つの出来事、思い出の一つである。
 給油は25.8リッター、そして返却時の走行距離は413Kmとなった。


尾道の夜

尾道夜景 この夜お世話になる、港屋へのチェックインは17:15頃となった。
 さすがに大汗をかいているので、シャワーで汗を流し、身軽な格好で外出し、夕食の為暖談に向かった。
 この日は広島風お好み焼きと、ビールを御馳走になった。次回訪れることができるのはいつになるだろうか。業務が順調に進めば、向東八幡さんのお祭りの時期と考えているのであるが...。
 暖談をあとにした後、少し海沿いを歩いた後、港屋に戻った。1Fの旬輪で現地の顔見知りのみなさんとしゃべりつつ焼酎をいただいて、部屋に戻った。
 さすがに疲れていたが、目がさえていた。シャワーを浴びた後、カメラの整備をしつつ、撮影した写真をしばし眺めてみた。デジカメとはこういう時に便利なものだ。今回の旅では短い時間に色々なことを経験したように思える。写真には写っていなくても、写真を見ると写っていないが確かにあった何がしかのものが思い出されてくる。今回も良い旅ができたということであろう。



6月28日

 7:30に目が覚め、8:10頃にはチェックアウトした。
 まず尾道駅に向かい、コインロッカーに大荷物を入れ、散策を開始しようとすると、駅前で何やらイベントの特設ステージを作っているようだ。しまなみ海道観光キャンペーンのオープニングセレモニー10:00〜11:00とのことだったので、散策後、空港に向かう前に立ち寄ってみることにした。


尾道散策

 海沿いを流し、商店街を抜け、8:40頃千光寺山ロープウェイ乗り場に着いた。始発のロープウェイの時間まで少々間があったので、艮神社に参拝することができた。
 始発のロープウェイに乗り千光寺山頂上へ。千光寺山頂上の展望台からぼっと尾道を眺めつつ、次回は予定通り向東八幡さんのお祭り時期に訪れることができるであろうかなどと考えていた。
 9:30発の下りのロープウェイに乗り、尾道駅に向かう。
 この日(6月28日)は作家林芙美子の命日であり、あじさいきが営まれる。林芙美子が好きだったというあじさいで芙美子像は埋め尽くされていた。

尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日)
尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日) 尾道にて (最終日)



しまなみ海道観光キャンペーン オープニングセレモニー

 しまなみ海道は10周年を向かえたのだそうだ。カミサンと結婚した年に尾道を訪ねた際にはしまなみ海道を渡る橋が工事中だったことを思うと、もうそんなに時が過ぎてしまったのである。
 オープニングセレモニーは、テープカットや、因島村上水軍陣太鼓等が演じられた。村上水軍陣太鼓、”胡蝶の陣”は、因島村上水軍の戦法の中でも最も恐れられた陣形との説明があった。

しまなみ海道観光キャンペーン オープニングセレモニーにて しまなみ海道観光キャンペーン オープニングセレモニーにて


帰路

 尾道駅から10:32分発のJR三原行きに乗る。イベントはまだ続いていたのであるが、あまりにも暑いので、空港に移動してしまうことにしたのである。糸崎で岩国駅に乗り換えた。こちらのほうが、三原に先に着くと車掌さんが教えてくれたのである。
 三原駅を出ると、空港行きのリムジンバスが停車しているのが見えたので小走りでバスに向かうと、10:50発とのこと。出発時間ちょうどにバスに乗ることができた。非常に連結がよかった。
 広島空港に着き、土産物を購入してトランクに詰め込み、これをANAカウンターで預けた。飛行機は問題なく運行しているようだ。
 12:00近くになったので昼食をとることにした。広島空港3Fのレストラン街の「広島あじろや」に入る。あなごちらし寿司と、生ビールを注文。とても美味であった。
 食事後、出発の14:50までかなり間はあるが、手荷物検査場を抜け、出発ロビーに入り、ANAラウンジで出発時刻を旅のまとめ等をしながら待った。
 飛行機は定刻通り動き始めた。機内はかなり空いている。本日空いていること自体は席も広く使えるので喜ばしいのであるが、あまりにも乗客が少ないと、最悪路線の廃止にも繋がりかねないと少々心配にもなってくる。
 仙台には16:11に到着。預け荷物を受け取り、仙台空港アクセス鉄道駅に向かう。16:37発のローカル仙台行きに乗ることができ、仙台駅には17:00過ぎに到着した。自宅へは17:20頃の到着となった。
 仙台は大変涼しい。この日の広島は大変良い天気で暑かったのでなおさらそう思えた。


最後に

 実現しようにも、なかなか行動に移すことができずにいた、石鎚山登山を果たし、石鎚神社4社にも参拝することができた。石鎚山山頂では、夕陽を見送り、星空を眺め、御来光を向かえるといった、贅沢な時間を持つことができたことは忘れえぬ思い出となった。
 今回の旅では計画時、まったく考えていなかった素晴らしい経験をさせていただくことができた。
 可能であれば参拝しようと、愛媛県に鎮座する、伊豫豆比古命神社(椿神社)、別宮大山神社、姫坂神社の地図も用意して旅に出たのであるが、今回は時間的余裕もなかったので参拝することはできなかった。しかしそれはそれで良かったと考えている。無理して参拝してもあまり意味はないので。これらの神社様にはまた別の機会に参拝させていただくことにしよう。
 次回の旅もまた素晴らしい旅になることを祈りたい。


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