2006.5.31〜2006.6.4
さくらお祓いの旅(一の宮巡拝記外伝 6)
日本西部のとある神社、(大山神社)
はじめに
今回の旅の記録は一宮巡拝の意図とは逸脱していると思われる部分が多いと思われる。また個人のお祓い等の行事が取り上げられた内容である為、部分的にぼかした表現を使わせていただいていることをご容赦いただきたい。
一の宮の巡拝を始めて4年程経ち、未だ完遂はなされてはいないが、色々な地方の神社様にお参りさせていただくことができた。神社に関係されている方だけでなく、その地方の様々な方達とも色々とお話をさせていただく機会にも恵まれ、その地方の持つ雰囲気や人が小生の持つ波長に合い、幾度となく訪れることとなった地方も今ではある。幸運にもそれらの地方では親しくさせていただけるお店ができ、友人もたくさんできた。そして今では、小生の住む街から遠く離れていても、お祓いもお願いする神社様もできた。
その神社様は小生の住む街仙台から遠く離れた中国地方に鎮座している。
中国地方を旅する際の基点となるのは、岡山、尾道のどちらかになることが多い。前述のような理由で、この地方を訪ねた際には必ずお参りさせていただく神社様がこの地方にはあり、そしてまた、小生の飲み友達とも言うべき、現地で知り合った友人達が多いためである。
さて、今回のお参りの旅の発端は中国地方のとある神社様と、尾道の飲み友達との会話から始まった。
昨年、初夏のことである。中国地方を旅し、とある神社様を訪ねた時に、通勤用に軽自動車を購入しようと決意した。旅先でレンタカーを使用する際に、料金が安いので軽自動車を借りることが多い。最近の軽自動車は、昔に比べ広く、パワーもある。そして燃費がよく、高速料金も安く、維持費も安い。長距離移動には向かないかもしれないが、通勤には十分であると考えていたのであるが、この時の旅で利用したレンタカー(軽自動車)の機動性と経済性が購入を決定付けたと言ってよい。(もともと、スバルR1と呼ばれる軽自動車が大変気に入っており、購入するならばこれにしようと検討は進めていたのであるが...。)
納車日はR1の先祖にあたるスバル360がこの世に生まれた3月3日と仮置きした。そして2006年のこの日は大安であるので、この日以外ベストな納車日は考えにくかった。
昨年秋、この神社様にお祓いをお願いに伺った際、こちらの神社様に奉仕されている女性と世間話をさせていただいた。その時に軽自動車を購入する旨を話し、縁起を担ぐ意味も含めて、ナンバープレートの番号を思いつきで決めていただいた。4桁全ての数字に意味を持たせ、さらに4桁を足し合わせた値まで考慮されたあまりにもよい番号を申し出て下さったので、そのまま採用することに決定した。
来年(2006年)春、境内の山桜の季節頃、できればこちらで新車のお祓いも受けたい旨を伝えると、仙台からの距離を心配され、「車検証を持って来て下さればそれでも...」とのお話を頂いた。
また、尾道では行きつけの店で現地の飲み友達と一杯やっていた時に、来春軽自動車の購入を考えており、お祓いはこの中国地方のこの神社様で行っていただく予定であることを話すと、「できるわけがない」と一笑された。そう言われると少々意地をはってみたくなるものである。
このような理由から、今回の旅が決められてしまっていたのである。
無事、予定通り軽自動車(スバルR1)は2006年3月3日に納車された。愛称は、その”とある神社様”の境内にある”やまざくら”にちなんで、さくらと名付けた。車両の契約にあたっては、通常は今契約したら、いつごろ納車になるか?という形を取るのであるが、今回の場合は、どうしても納車日は3月3日にして欲しい。3月3日に納車してもらう為には、いつ契約すればよいのかという、納車日ありきの交渉が、納車日の4ヶ月以上前(前年の11月)位からディーラーさんと綿密に行われた。これまで何台か自動車を購入してきたが、ここまで手間をかけた自動車は初めてであった。
とある神社様の山桜の便りは届いたものの、この時期会社は年度末、年度初め。仙台から中国地方まで車で旅するスケジュールを空けることが出来ないままゴールデンウィークの時期が来た。ゴールデンウイークの時期の移動は、渋滞や混雑が読めず、計画を立てずらい。
ゴールデンウィーク明け、いつまでたってもこのままでは計画が立たないので、6月初めの土日付近に年休を2日会社に申請した。
2日連続で休むのは心苦しいが、20日前から申請していれば、仕事もなんとか調整できると考えた。(実際のところ、この2日の休みを確保する為に少々オーバーワーク気味であったが...。)
2006.5.31
21:30家を出た。さくら(R1)の後部座席は倒してラッゲージルームとし、土産物や、カメラの機材を満載した。助手席には、小生の愚痴を聞く係として子犬のぬいぐるみを座らせた。仙台は曇りで星は見えないが、旅行先の天気は上々、特に気も停めずに出発した。
基本的には高速道路を使う作戦であるが、少し早く出発することが出来たので、下道を使い、白石ICから東北道に入った。
レーダー探知機の調子が最近よろしくなかった。過剰反応しすぎているのである。多少気になりながらも、さくらを走らせていたのであるが、福島県吾妻SA付近で、うんとも、すんとも動かない状況となってしまった。ほとんど距離を走っていない状況でのトラブルである。だが、仕方がない。不慣れな道をハイテク機器に頼ることはできないので不安ではあるが、急ぐ旅ではない。有視界走行をすればよいことである。開き直れば気は晴れるもので、制限速度プラマイ10Km程度の速度で走行し、こまめにSAに入り、休憩をとりつつ走行した。
2006.6.1
途中、多賀SAで朝食をとり、その後、名神高速の舗装工事に伴う渋滞に捕まったが、目的地近くの中国地方のICを下りたのは、13:00頃、そして目的の”とある神社様”への到着は13:30頃となった。
今回の往路のルートは以下の通り
東北道->(郡山JCT)→磐越道->(新潟JCT)->北陸道->名神->山陽である。軽自動車に加え、ETC深夜割引でかなり高速代は安くあがった。
まず拝殿にてお参りさせていただいた後に、社務所を訪ねる。いつも居られる年配の女性に手土産などを渡し、今日は徹夜(休んではいるが...)で車を走らせており、また、これから元宮への参拝を行う予定であった為、ラフな服装であるので明日あらためて、さくらのお祓いと、小生の厄払いを願いしたい旨を伝えると、明日は平日なのであるが、大安の為結婚式が二組入っているとのことであったが、せっかく仙台からのお参りなので、合間をぬってお祓いをしてくださるとのお話を頂いた。さくらのナンバープレートの決め親にもご挨拶したかったのであるが、この時は不在。明日はおられるとのことであったのでその時にお話させていただくこととした。
元宮はこの神社様本殿の後方の山の山頂に鎮座している。初めはカメラ等フル装備で登拝しようと考えていたのであるが、かなり気温が高い。先ほどの女性に「元宮への登拝はこの格好では自殺行為ですかね?」と尋ねると、「そうですね。気温が高いですからね。」とのこと。さらに、「ニョロニョロも出始めていますから気をつけて下さい。」とのお話をいただいたので、とりあえず最低限のカメラの装備と長袖のシャツのイデタチで、山を登りはじめた。
風はなく気温も高く、汗を多くかいたのであるが、嫌な汗ではない。むしろ心地よい。どれくらい山道を歩いたであろうか?元宮にたどり着いた。元宮に参拝し、元気に生活できていること、何だかんだ言っても、家族は皆健康であること、そして、小さな約束(相手は覚えていないかもしれないが...)を果すためにこの地にまでやってくることができたことを元宮に報告し、そして感謝した。そしてしばしぼっと山頂から某市街を眺めた。大変気が晴れていく気がする。最近業務に追われていたので...。
下山は思ったより早かった。下山し、社務所に顔を出し、明日お願いしますと告げ、今晩の宿泊先尾道を目指した。
尾道を目指す途中いろいろ考えた。この旅では、中国地方は一泊のみで、お祓いを受けたらその足で移動し、三重、あるいは北陸の一の宮を参拝して仙台に戻ろうとも考えていたのである。しかし、”とある神社様”の元宮からぼっと見た風景を思い出し、ただひたすらのんびりしたいという気持ちにかられた。
ホテルはよく利用させていただく、グリーンヒル尾道さん。ホテルにチェックインする際に、もう一泊延長していただけるようお願いしてしまった。
夕食は尾道に来たならばかならず訪れなければならない、お好み焼き鉄板焼きの暖談さんを訪ねる。この日伺うことは予め連絡を入れておいた。(軽自動車で伺うことはもちろん告げていない...)
いつものように、こんにちはと店に入ると、○○さん、お久しぶりと、暖談の奥さん。遠く離れた尾道で、小生のことを忘れずにいて下さることが何より嬉しい。
この日は近況などをお話しながら、おいしいお酒とお好み焼きをいただき、早めにホテルに戻った。
さすがに疲れていたのか、ホテルに着いた後の記憶はほとんどない。
2006.6.2
我ながら関心するのが、旅行先でのスケジューリングである。酔っ払っていようが、疲れていようが、時間の問題で不具合が生じたことはない。 いつセットしたのかも記憶がないのであるが、目覚まし用のアラームを3種類(携帯、ホテルの部屋の目覚まし、モーニングコール)セットしていたらしく、全てが同時に鳴り響く。不思議と目もぱっちりと覚める。ホテルの朝食をとり、早速お祓いに向かう。尾道から”とある神社様”までの距離は100Kmもない。9:30頃には神社様に到着していた。
結婚式の一組目の準備が行われていた。結婚式が始まり、社務所が空いたところを見計らって、さくらのお祓いと、小生の厄払いをお願いした。今回は、正しいかどうかはわからないが、熨斗袋も準備した。昨日の社務所の女性にこれでよいのかを尋ねると、熨斗袋の作法は完璧とのこと。今後このように準備することにしよう。
厄除けのお札(おふだ)を選ぶこととなった。「どの大きさにしますかとのこと。」昨年前厄のお祓いをお願いした時には、気を使っていただき、飛行機でも持ち帰ることのできるサイズを提示していただいたのだが、今回は自動車なので特にそのような制約はない。大、中、小、その他とあるようでどれを選んでいただいてもよいとのこと。神社の方のお話だと、大は選挙事務所にお祀りするようなものとのことだったので、”中”でお願いした。
本来、大社殿が使用されている場合は、祈祷殿でお祓いが執り行われるとのことであったが、わざわざ仙台から来てくださったので、ぜひ大社殿でぜひお受け下さいとのお話をいただき、結婚式一組目終了後、大社殿で御祈祷をお受けすることができるよう、とりはからってくださった。
結婚式1組目終了後、いつもこの神社でお会いする女性が、小生を見つけ駆け寄ってきて下さった。「こんにちは、おひさしぶりです。自動車のお祓いですね。」とのこと、全て心得ておられる。今日は結婚式の為で大忙しのようであったので、明日帰仙前にもう一度お参りさせていただく予定なので、その時にでもお話させていただくこととした。
さて、ご祈祷であるが、結婚式1組目終了後、大社殿を結婚式の会場から祈祷用の会場にわざわざ組み替えてくださり、宮司様自らご祈祷を執り行って下さった。お忙しいところをご対応いただき、深く御礼申し上げます。
ご祈祷後お札(おふだ)をいただき、少々驚いた。中サイズのお札は、75cmある。さて、持ち帰るのは問題ないが、どこにお祀りしようか。また、授与品も盛りだくさんである。どうも気を使っていただいたようである。重ねて、御礼申し上げます。
時計を見ると12:00前、時間はまだある。因島の大山神社さんにお参りしておくことにした。その為にはまず尾道方面に引き返す。途中オートバックス尾道店により、レーダー探知機をチェックしていただいた。電源を入れるとヒューズが飛んでしまう状態とのことであった。本体、あるいは電源ケーブルの異常であろうとのことで、仙台に戻り、購入店で保障修理に出すこととした。この旅はレーダー無しで安全走行を心がけるしかない。
その後、しまなみ海道を使い、因島の大山神社さんを訪ねる。大山神社さんは、以前因島を散策している時にふらりと立ち寄り、お世話になった神社さんである。お参りを済ませ、社務所に顔を出すと、覚えていてくださり、近況等を雑談させていただいた。因島は今年から尾道市となったとのことであった。
ホテルに戻り、17:00頃暖談さんに顔を出す。お好み焼きを肴に一杯ひっかけていた時、尾道の飲み友達に今回の旅ではお会いしていないという話を暖談のおかみさん、山崎さんにお話すると、コンタクトをとって下さった。すると、その友人はどこかの店で飲んでいたところを打ち切り、駆けつけてくださった。
「本当にきよったん?」驚きとともに、大変喜んで下さり、このあと何件かのお店を小生を紹介しながら周り、おいしいお酒をたくさんご馳走してくださった。またこの地方に知り合いが沢山できた。
2006.6.3
この日は、快晴。
朝食をとりながら窓の外を見ると、尾道水道が大変輝いている。食事を済ませ、チェックアウトし、昨日お祓いを受けた神社様を目指す。
途中、もう一社の神社に立ち寄りお参りさせていただいたのであるが、その神社の本殿は改修工事中であった。こちらの神社も大変美しい社殿をお持ちであったので少々残念であった。
とある神社様に到着し、カメラをぶら下げ、のんびりと境内を散策させていただいた。天気が大変よかったので社殿が大変青空に映えていた。今回は地元ボランティアの方から、この神社様の説明や、この地方のお話をお聞きする時間もとることができた。
昨日時間がとれず、あまりお話することができなかった、こちらの神社様の女性とものんびりと世間話などをさせていただいた。次回はいつごろこの地方を訪ねるかという話題になった。小生の誕生月の9月頃のお参りを考えているのであるが、なぜか10月頃になると、毎日ではないのであるが、仙台-この地方の直通飛行機が期間限定で運行されるので、それを使ってみるかもしれないとの話をすると、「その時期なにかこの地方であるのでしょうか?」聞いてみましょうということになり、神職の皆さんに聞きまわった。しかし、10月はお祭りで、11月は七五三、12月は年の瀬...であるが、この為にわざわざ飛行機を飛ばさなくても...。仙台でも特になにもなく...。と結局のところは結論は出なかったのであるが、とにかく、そのころにまたお参りさせていただく旨を告げた。
12:30この神社さんを後にし、仙台を目指す。
帰路は基本的には復路と同じ道を引き返すのであるが、時間的にかなり余裕がある。どこか観光して帰るのも一つの案であるが、この神社様への参拝と散策、そして尾道での気分転換と、これ以上ないくらい気持ちは充足していた。無理をする必要はない。のんびりと仙台を目指すことにした。
高速道路にすぐに乗ってしまうのもよいが、のんびり下道を移動してみたくなった。岡山、兵庫、大阪、京都を抜け、琵琶湖付近の八日市から高速道路に乗った。
2006.6.4
さすがに旅の疲れが出ているようだ。とにかく安全運転第一である。また、レーダーも使用できないので、知らぬ道で飛ばすのは無謀の一言につきる。帰路は家路を急ぎたいという気持ちが強くなるが、そこをぐっと抑えつけて走る。
もう直ぐ仙台につくという手前で菅生(すごう)SAに入った。尾道の飲み友達が、「事故というものは、目的地にもうちょっとというところで気を抜いた時に起きるものだから、最後まで気をぬかないように。」と言ってくれたことを思い出し、一旦落ち着こうと考えたからである。
家に到着したのは、10:30頃、総走行距離は2590Kmとなり、旅行前の計画よりもだいぶ早く家についた。
今回の旅はかなりの距離を走り、無理をしたように思われるのであるが、不思議と疲れが溜まらなかった。旅行前に時間があったらと様々なオプションプランを考えていたのであるが、結局のところそれらのプランが実行されることはなく、中国地方のみを巡った。
結果それでよかったと思う。なによりのんびりすることができたのでそれでよい。
長いようであっという間の旅であった。現実の日々に引き戻されてみると、このような旅もよいものであったと思う。もちろん自動車で長距離を旅するということではない。目的をしぼり、それを達成したならば、それ以外の時間はその場で適当に考え歩く。というパターンの旅である。せっかく旅に出るのだからと、どうしても時間に追われる計画となりがちであり、その立てた計画にズレが生じると焦り気疲れすることがよくあった。もちろん計画を立てること自体悪いことではないし、計画を立てるのもまた旅の楽しみの一つであるのだから。
ゆとりのある旅の計画とはどのようなものであろう。少し考えてみたい。